ワスレルカラカク

どんどん忘れてしまう日々のあれこれを綴ってみようというあやふやな試みです。

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「内容見本にみる出版昭和史」

内容見本にみる出版昭和史 内容見本にみる出版昭和史
紀田 順一郎 (1992/05)
本の雑誌社
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 内容見本とは、書籍のチラシやパンフレットのこと。今では、全集や百科事典など高価な書籍でみられるそうだ。著者は、ダンボールに溢れるほどの内容見本を集めたというお方。本が大好きなのだろう。映画好きがパンフレットをためてしまうのと同じかな。本書では大正時代の円本から現在の英和辞典まで、ありとあらゆる書籍の内容見本をピックアップ。それにより、知らなかった出版界の歴史を垣間見ることができるという、実にたのしいものだった。
 どんなふうに楽しいか、わかりにくいだろうから、例を挙げよう。はじめに登場するのは、大正末年「現代日本文学全集」(改造社)。キャッチコピーは「先ず一円を投ぜられよ!!」。どういうことかというと、予約金1円を回収して、それを初期資金として全集を作るというのだ。要するに、お金が無いのに文学全集38巻を出そうというのだからオドロキ。しかしながら、当時はこのような予約出版という形態は著者曰く「常套手段」だったそうだ。(とはいえ、この改造社の件に関しては「大バクチだ」との声があったらしい)。そして、この内容見本の「誇るべき大特色」がさらにオドロキ。①本全集あれば、他の文芸書の必要なし。(なんと!) ②総額壱千円のものが毎月たった壱円。(?!) ③内容充実し、普通版の四万頁に相当す。(量を自慢かよっ!) 略 ⑦全日本の出版界は其の安価に眼を円くす。(安さを自慢かよっ!) ⑧本全集あれば一生退屈しない。(買いますよっ!くださいなっ!)…てなアンバイだ。実にたのしい。最後の章の「新英和大辞典」(研究社・昭和2年)では「一語を引けば同時に数語が頭に入り加速度的に英語の貯蓄が増して行く…」と。そんな英和辞典、欲しいじゃありませんか!?うんうん、たのしい。
 私たちが普段何気なく親しんでいる本たちが、どんな風に育ってきたのかを、読書を通してたのしく知ることができる傑作。たくさんの作家や編集者、出版社のおかげで、本を選ぶ楽しさを味わうことができるほどの現在の環境になったのだなと感じ入ったのでありました。幸せな時代だ、ありがたや。

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